急に寒くなりましたね。
朝晩はまるで初冬のようです。
ここ数年、秋が本当に短く、秋好き(?)の私としては少し寂しいです。
さて、先日お店の本棚を整理していたところ、とても立派な装丁の本が見つかりました。
大変興味深い内容なので少しだけ紹介させていただきます。
その本とは昭和47年発行の重要無形文化財「木工芸」保持者(人間国宝)、黒田辰秋の作品集で白州正子との対談やエッセイ、様々な関係者の寄稿というとても贅沢な内容です。
写真は土門拳が病床のため監修をし、牧直視(土門氏の弟)が撮影を担当しています。
本の装丁、題字の意匠は芹澤銈介、表紙の裂地は柳悦孝(柳宗悦の甥)です。
木工芸の作家として有名ですが、木地作り、漆塗りなどのすべての作業を一貫して自分たちで作っているということです。
通常は木地作り、漆の下地、螺鈿や蒔絵に蝋色などの作業はそれぞれ専門の職人が分業するのが業界の常識でした。(江戸時代ぐらいに遡れば同じようにすべてを自分でする職人はいたみたいです)
生まれが塗師屋(蒔絵など施す前の無地のものを作る所)でいくら腕が良くて誠実なものづくりをしていても、最終的に仕上げる(蒔絵師など)ものの名だけが世に出ていくということに小さい頃から違和感を覚えていたという。
そういったことから一貫作業を志すようになる。以下に数点の作品を載せていますのでご覧くださいませ。
柿渋で染めたと思われる和紙のカバーに入っています。
お店に大切に保管されていたため、昭和47年発行とは思えないほど綺麗です。
味のある裂地で装丁されています。
自筆の名と落款です。この項だけ上質の和紙になっています。
初期の頃の作品。(大正14年作)
李朝家具に影響を受けたと思われる棚。
芸術家の岡本太郎所蔵の鏡台。
百万遍の進々堂で現在も現役で使われているテーブル。数年に一度は作品に触れるため同店を訪れています。倉敷の大原美術館の横にあるエルグレコというカフェに同じセットがありびっくりしたことがあります。
志賀直哉所蔵のインク壺。白タモの葡萄杢という希少な部位を使ったもの。
これもまた李朝家具の影響をうかがえる意匠。金具が全体の雰囲気を引き締めています。
幾何学や単純なモチーフをとても力強く表現しています。
こういった小物も数多く作られていますが、サイズが小さいにもかかわらず迫力があります。
ペーパーナイフ。上から志賀直哉、武者小路実篤、川端康成の所蔵品です。
彫刻家顔負けの造形力です。
映画界の巨匠、黒澤明邸の食卓セット。
家具も勿論いいのですが、眺めも素晴らしいです。
迫力のある応接セット。黒澤明用の椅子は特に大きく「王様椅子」と呼ばれていたみたいです。
祇園にある老舗菓子店の鍵善良房さんの什器に現役で立派な飾棚など使われてるみたいですので、美味しそうなお菓子を買いがてら、黒田辰秋さんの作品を見に行こうと思っています。
祇園にある老舗菓子店の鍵善良房さんの什器に現役で立派な飾棚など使われてるみたいですので、美味しそうなお菓子を買いがてら、黒田辰秋さんの作品を見に行こうと思っています。
株式会社 宮崎 担当 有瀬
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